京都大学アメリカンフットボールイヤーブック bull広告ページ

京都大学アメリカンフットボールクラブイヤーブックの表2、扉のページは(株)ザオバ様の広告ページになってます。直接的な商品の広告ではなく、クラブハウスにあるbullroom(トレーニング室)にまつわる物語を紹介していてます。現在の四回生が一回生だった頃も選手紹介のページで写真を撮らせて頂いているのですが、入部したばかりの一回生のほとんどはフットボール(アメフト)で闘う身体にはなっていないので、鍛え上げられた四回生たちに比べるとかなり華奢に見えるのです。闘える身体にするには10キロとか普通にビルドアップしなければならないので、フットボールという競技がいかに強いフィジカルを必要としているのかが分かります。鍛え抜かれた四回生たちはスタジオで対峙すると闘うオーラが自然と出てきます。対して一回生はまだその領域にはなく、妙に可愛らしく見えてしまうことがほとんどです。そんな彼らもいずれ逞しく見える日が来るのだろうと。 シルツ荘馬さん。入部した頃の彼のあまりに優しそうな顔を見て、フットボールという激しい競技が出来るのだろうかと思ってしまいました。ですが二回生になる翌年春の小豆島の合宿では身体も大きくなっている。高校サッカーの名門校のレギュラーだったシルツさんは、見た目に反して基礎体力はかなりのものがあったそうです。ランニングバック(RB)として能力の高さは素晴らしく、二回生で誰もが認める存在になってました。RBはボールを持って相手陣地に切り込んでいくオフェンスの華のあるポジションのひとつ。シルツさんはその年の秋のトーナメントで活躍したのを聞いてました。そんな彼のことをここで取り上げてます。お分かりかもしれませんが、テキストの最後の言葉はカミュの哲学から引用してます。個人的にとても好きな言葉。「もうユニホームの着方なんて忘れちゃったよ!」 スタジオ撮影では久しぶりにユニホームを着ることに対して楽しそうに笑っておどけてましたが、カメラを前に向き合うと、やはりこれまでに積み重ねてきた深さが出る。いつくかの注文だけを伝えてそのまま撮りました。ボールを大事に抱えているシルツさんの眼が一瞬潤んでいるように感じたのは気のせいだったということにしています。

輝けるほどの走る才能があった。

2019年のシーズン、RBのシルツ相馬はフィールドを疾走した。

誰もがエースになることを疑わなかった。

2020年、フィールドにはシルツの勇姿はなかった。描いた夢が遠ざかる。

サイドラインの外でリハビリとチームのサポートに徹する。

何事もなく振る舞うその姿は、二年という永い責苦を感じさせることはない。

だが、行き場のない悔しさを受け止めてくれるこの場所で奥底にとどめていた想いが溢れ出した。

復帰目前からの再手術。また一から取り組んできた日々を想う。

かつてのパフォーマンスは取り戻せないかもしれない。

しかし、チームはシルツがフィールドに戻ってくることを望んでいる。

どんなに厳しい現実を突きつけられても、踏みとどまって闘うことを誓う。


輝ける瞬間のためにBULL ROOMで積み重ねてきた真実は

最後のフィールドへ向かうシルツに確信を持ってこう判断させるだろう。

すべてよし、と。