フィリピン、沖縄、福岡。
昨年3月からの撮影はコロナ禍で想うにまかせないことが殆どだったと思います。障がいを抱えて生きること以上に、与えられた宿命に向き合うこと、を教えてくれる物語かもしれません。だから、障がいは表面にあらわれることの一部であって、究極は自身と向き合うこと。
主演の尚玄さんはコロナ禍のフィリピンでいつ演るかわからない役を演じるために、この一年、精神も身体もボクサーで在り続けたことができたのは、実存すた友人でありこの映画のモデルになった義足のボクサー土山 直純と、内在する故郷沖縄というアイデンティティと、ごくパーソナルな「家族」というシンプルで普遍的なカタチと対話をして成り立ったドキュメンタリーと言っていいと想う。
この映画は世間的みれば博打だ。プリメイラ・メンドーサ監督という世界の巨匠と組めるなど誰も想像していなかったことだ。そんなんことは在り得るわけがない、と。だが在り得るのだ。それを可能にすることは何故なのかという答えは、この映画を観ればわかるんじゃないかな。 沖縄、そして土山 直純という媒体を通して、尚玄さんの息遣いが聴こえてくる。