鼓動が高鳴る。
僕はレリーズを口にくわえたまま、張り裂けそうな空気の中に身を潜めた。
僅か数分後には、彼はリングという聖域にむかう。
いつものお調子者の彼は消えていた。
もう、逃げることはできない。
極限まで追いつめられた彼は、静に祈り始めた。
僕も覚悟を決めた。
僕の身体の痛みなど、もうどうでもいいことだ。
シャッターを切った。
それは鋭い電流となって、空気切り裂いた。
しかし、もう彼は動じない。
圧倒的に美しいと想った。
ほんの少しの羨ましさとともに。
Photographer 林 建次
鼓動が高鳴る。
僕はレリーズを口にくわえたまま、張り裂けそうな空気の中に身を潜めた。
僅か数分後には、彼はリングという聖域にむかう。
いつものお調子者の彼は消えていた。
もう、逃げることはできない。
極限まで追いつめられた彼は、静に祈り始めた。
僕も覚悟を決めた。
僕の身体の痛みなど、もうどうでもいいことだ。
シャッターを切った。
それは鋭い電流となって、空気切り裂いた。
しかし、もう彼は動じない。
圧倒的に美しいと想った。
ほんの少しの羨ましさとともに。